コーヒーと牛乳

クラフトボス ブラウン 500mlペット

ブラウン

2018年06月19日新発売のRTDコーヒー。ブラウンはブラックとラテの中間的存在を示しているらしい。味は微糖の缶コーヒーと変わらないと思った。缶コーヒーをこの量も飲むのはちょっと辛い。

コーヒーと牛乳

先に入れるか後に入れるか

紅茶では牛乳を先に入れるか後に入れるか議論がある。イギリスの王立化学協会によれば、牛乳たんぱく質の変性を抑えるためによく冷えた牛乳に対して温かい紅茶を注ぐべきだと結論づけている。
コーヒーに関してはどうだろうか。ラテアートを考えてみると、コーヒーに牛乳を注いでいる。熱によるたんぱく質の変性という観点では、スチームミルクにした時点で加熱されてしまっていて牛乳の風味を考えるような余地はもうない。
RTDのコーヒーと牛乳の混合物を考えてみると、紙パックや缶、ペットボトル入りのコーヒーが思い浮かぶ。
コーヒーと牛乳の混合飲料はコストや保存性の観点から生乳の比率は低いか、粉乳や練乳が使われる。その中で乳固形分3.0%以上含有しているなら「乳飲料」と呼べる。
コーヒーの表示としては製品100グラムあたり生豆を5グラム以上使っているなら「コーヒー」で、2.5グラム以上5グラム未満は「コーヒー飲料」となり、1グラム以上2.5グラム未満は「コーヒー入り清涼飲料」だ。
今回のブラウンの表示は「コーヒー」だった。となると牛乳の使用量は少ないだろう。ブラックとラテの中間らしいからそれもそうだろうが。

シュウ酸とカフェイン

日本人のカルシウム摂取量は不足している。厚生労働省としては600ミリグラム以上の摂取を推奨しているが、状況としては100~200ミリグラムも不足している。
カルシウム不足はなかなか問題だ。成長期の骨には多くが必要なのはもちろん、体を動かすためにはカルシウムが必須だ。高齢者の骨粗しょう症リスクを考えてもカルシウムは重要である。
「コーヒー牛乳を飲んでいるから大丈夫」とは言えない。コーヒーにはシュウ酸が含まれていて、牛乳のカルシウムを加えたとして吸収率が悪くなる。
にも拘わらず「健康のためにコーヒーには牛乳を入れるべき」という主張を聞いたことがあるだろう。それはシュウ酸が有毒、また尿路結石の原因となると考えられているからだ。
なんたって尿路結石の痛みは「激烈」だ。疼痛の機序で尿量がさらに増すという嫌味ったらしさすら持ち合わせている。第一選択薬は非ステロイド性消炎鎮痛薬だが、こむら返りによく出る芍薬甘草湯がNSAIDs並みに効くという話もある。尿管れん縮、言ってしまえば尿管のこむら返りが疼痛の原因だから納得できる。
シュウ酸をシュウ酸カルシウムとして摂取すると吸収できないからリスク低減になるのが根拠だ。とはいえシュウ酸は反応性が高く揮発性もあるので焙煎という工程を経るコーヒーにそこまでのシュウ酸が含まれているとは思えない。
カルシウム摂取でほうれん草が良いという話も変だ。ほうれん草もシュウ酸を多く含む。しかしシュウ酸は水に溶出するので、ほうれん草のおひたしは理に適った食べ方と言えるだろう。
やはりただの牛乳が最も手軽にかつ効率よくカルシウムを摂取するのに向いているだろう。牛乳に含まれているたんぱく質やリンはカルシウムの吸収を助ける。
シュウ酸だけでなく、胃腸粘膜保護を考えてもコーヒーは牛乳と共にあるべきだ。コーヒーに含まれるカフェインはホスホジエステラーゼを阻害する作用があり、その結果としてcAMPの濃度が上昇する。cAMPとは細胞内伝達物質の一つで、胃粘膜においては胃液分泌を促進する。
食後のコーヒーが好まれる理由だが、空きっ腹にコーヒーを飲むと胃が荒れる原因である。牛乳はその脂肪分が胃粘膜を保護する。
カルシウムは他でたくさん摂取してしまえば阻害される分もカバーできる。吸収率を考えるよりそもそもの摂取量を増やすべきである。

参考

How to make a perfect cuppa: put milk in first
飲用乳の表示に関する公正競争規約及び同施行規則
コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約・施行規則対照表
日本人の食事摂取基準
国民健康・栄養調査
知っていますか?カルシウムの”吸収率”のこと | 教材・資料ダウンロード | Jミルク
資料・國民榮養研究協議會
市販緑葉野菜の硝酸およびシュウ酸含有量
尿路結石症診療ガイドライン第2版 - 日本泌尿器科学会